ローマ人への20の質問 / 塩野七生

ローマ人への20の質問 (文春新書)

スパルタ人もアテネ人も、戦場ではあれほども強かったのに短期の繁栄しか享受できなかった。その主因は、かつての敵を自国の市民と同化させようとせず、いつまでも異邦人として閉め出すやり方をつづけたからである。しかし、われらがローマの建国者ロムルスは、賢明にも、ギリシア人とは反対のやり方を選択した。年来の敵も敗れた後は市民に加えたのだ。


元老院議員諸君、われわれが古来からの伝統と思いこんでいる事柄とて、それが成された当初はすべてが新しかったのだ。国家の要職も、長く貴族が独占していたのがローマ在住の平民に開放され、次いでローマの外に住むラティーナ人に、さらにイタリア半島に住む人々にと、門戸開放の波は広がっていったのである。


議員諸君、今われわれが態度表明を迫られているガリア人への門戸開放も、いずれはローマの伝統の一つになるのだ。われわれは今、それを討議する上で数々の先例を引いたが、このこともいずれは、先例の一つとしてあげられるようになるのである

クラウディウスのその言葉


まさに寛容の心
ローマを表している


そして自らも学ばねば