【32想】 新編 銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治
そして読んでもまったく思い出さない・・・
それでもめちゃくちゃ面白かった。
双子の星
よだかの星
カイロ団長
黄色のトマト
ひのきとひなげし
シグナルとシグナレス
マリヴロンと少女
オツベルと像
猫の事務所
北守将軍と三人兄弟の医者
銀河鉄道の夜
セロ弾きのゴーシュ
饑餓陣営
ビジテリアン大祭
最初の方の短編は詩的な文章で
少し読みにくい印象を受けたが
すごい世界観だなと感銘をうけた。
文章が本当に詩的で情景が眼に浮かび上がってくる。
そして一番好きになったのは
「セロ弾きのゴーシュ」
これは本当に面白かった。
ゴーシュがうちへ入ってあかりをつけるとさっきの黒い包みをあけました。それは何でもない。あの夕方のごつごつしたセロでした。ゴーシュはそれを床の上にそっと置くと、いきなり棚からコップをとってバケツの水をごくごくのみました。
それから頭を一つふって椅子へかけるとまるで虎みたいな勢いでいるの譜を弾きはじめました。譜をめくりながら弾いては考え考えては弾き一生けん命しまいまでいくとまたはじめからなんべんもなんべんもごうごうごうごう弾きつづけました。
夜中もとうにすぎてしまいはもうじぶんが弾いているのかもわからないようになって顔もまっ赤になり眼もまるで血走ってとても物凄い顔つきになりいまにも倒れるかと思うように見えました。
ゴーシュが目をまっ赤にして
セロを弾く姿が目に浮かんでくる。
すごいこのゴーシュには元気づけられたような気がする。
そして「もうあと1編あるのかぁ
もうお腹いっぱいかなぁ」と思って
読んだ最後の短編「ビジテリアン大祭」だが、
正直度肝を抜かされた。
すごい。
詩的な文章を書く人はどちらかというと
右脳的なイメージがあるが、とんでもない。
こんなにも左脳的で論理的な素晴らしい文章も
書くのかと、最後まで夢中になって読んでしまった。
自分がベジタリアンだからということも
興味を持てたということもあるが、
それにしても、ベジタリアンとそれを否定する
グループとの論争はものすごい文章だなと思った。
本当にに頭がいいのだと感動してしまった。
そんなに量があるわけではないので
すべての作品に目を通してみたいなと思った。