【104想】 異邦人 / カミュ

異邦人 (新潮文庫)
相変わらずこの手の本は最初は入りにくい。登場人物がカタカナだとどうもなじめないし、また「訳」しているという以上、どうしても独特の文体になる。それに慣れてきはじめたのが一章の終わりぐらいからだろうか。慣れてきたというよりか、そこに事件が起こるため引きつけられるというのもあるかもしれない。第二章に入ってからはあっという間に読了。
面白いかった。
自分は幼いころからまわりの“空気”に敏感だった。あの何とも言えない独特の“空気”。そしてなんとなく従わなくてはいけないその“空気”。自分はその“空気”が嫌いだった。
ある時音楽、パンクと出会ったことでその“空気”を打破したときもあったが、社会に出てからというものいつのまにかその“空気”に取り込まれてしまっている自分に気付く。
この主人公はその“空気”と戦い、自分の感覚を最後まで貫くことでその“空気”に物理的に殺されてしまう。そんな話だろうか。というかそういう風に自分は感じた。
そしてラスト。主人公はその“空気”を見つめ、死を見つめ、苦しみ、そして最後にそれを受け入れる。
そしてその時、世界は輝いた。


リンク:
「場ちがいな人生」を、そのまま生きていい。:日経ビジネスオンライン