【14想】 介護入門 / モブノリオ

介護入門 (文春文庫)
モブノリオ氏をテレビで見たのは
いつだっただろうか。


テレビで見たことなんて
普通すぐ忘れてしまうものだが、
なぜかとても記憶に残っている。


芥川賞を受賞した後だったか、
爆笑問題のススメにモブノリオ氏が
出演していて、このようなことを言っていた。


イラクで香田さんが殺されて、
その遺体がアメリカの国旗にくるまれて発見された頃、
プライドか何かの試合を見に行ったそうだ。


その時に、アメリカの国歌斉唱があり
来ていたお客さんが皆起立していたことを
非常に疑問に思ったそうだ。


先日あのような痛ましい事件があった後に
なぜこのようなことができるのか、
自分には分からない。


そのようなことを言っていた。


自分は、その彼の話しや話し方を見て
一発で好きになってしまった。


理由がよく分からないのだが、
とにかくとても印象に残ったのだ。


その時もちろん、
彼の本を読んでみてみたいなと思ったのだが、
なんだかんだでそれを実際に手に取ったのは
ごく最近だった。


そして本日読了。


介護という行為を通じて自分の人生と対峙する姿が
とても重く描かれていて、本を読み終わった後
胸にどんよりと残った。


介護という行為は、
一般人にとってはとてもかけ離れているもので、
医者や看護婦の仕事というイメージだ。


自分の身近な人が実際にこうなったら
自分はその人に向かってどういう態度をとるのだろう。


そんなことをいろいろ考えてしまった。


とても深く重いテーマを突きつけられた。


それにしても、
その重い現実と実際に向き合って、
人生の解を導き出した著者に、
ただただ尊敬の意を抱くばかりである。