世界共通語

村上春樹のスピーチを読んだ。


恥ずかしながら村上春樹の小説を
自分は読んだことがない。


以前語学学校で最近小説を読むのが趣味です
と言ったときに、先生が村上春樹の小説は
面白いよなぁと言ったので驚いた。


日本人の小説が読まれているのが意外だったが
家に帰ってきて調べてみると、確かに、、、
日本よりも海外のほうが有名な勢いらしい。


そんなことも知らない自分の無知さを少し恥じた。


これで小説を読むのが趣味ですとは
まだ言えないな・・・


ニューヨークに来たことで
自分を日本人という枠組みで考える機会が増えた。


日本にいるときはもちろん一切そのような
枠組みで自分を考えたことがなかったが、
いろいろな気づきがある。


そして何より「日本」や「日本人」に興味を
持つようになった。


そんな矢先に「日本人」である村上春樹氏が
海外で賞を受賞、そしてスピーチするとなれば、
興味をひかずにはいられないだろう。


村上春樹: 常に卵の側に
村上春樹、エルサレム賞受賞スピーチ試訳: 極東ブログ


ここ数年のインターネットの普及によって
簡単に海外のサイトへもアクセスできるようになった。


こちらにいても日本のニュースなどはリアルタイムで
見られるし、ネットをやっている時の感覚は
日本にいた時と一切変わりない。


これからインターネットの普及によって、
どんどん海外との距離も縮まっていくのであろう。


しかし、海外に住んでいて思うのだが、
いくらネットで海外の人と交流が簡単にできるようになる
といっても、そこからが大変なように思う。


今自分が苦しんでいる「言語」の問題、
そして「文化」の問題だ。


まず、話せない。
何せコミュニケーションが取れないのだ。


言いたいことがあっても伝えられない。


そして文化の違い。


最近友人がネイティブの人とシェアしていたが
結局そりが合わずに引っ越すことになった。


自分が買ってきた飲み物を飲まれてしまうとか
他にもあげればきりがないが、
かなり彼らを理解するのに苦しんでいた。


他にもネイティブの人とのシェアにおいて
いい話を聞いたことがない。


言語が違う、文化が違う。
それなのになぜ村上春樹の小説は
こんなにも海外で人気なのであろう。


村上春樹さんのインタビューの記事に
こんなことが書いてった。

これほどの人気作家は日本文学史上初めてのことだ。本人は世界的人気の理由をどのように考えているのだろうか。
「理由ははっきりとはわからないですね。でも物語の面白さと文体が割とユニバーサルな浸透力を持っていたからではないかと思います。」
「物語」と「文体」についてさらに聞くと。
「物語は世界の共通言語ですよ。面白い物語は誰でも読む。例えばディケンズの物語が面白ければ、どこの国の人でも読むんですよ。僕の文体は日本語の日本語性みたいなものに、あまり寄りかからない文体です。だから翻訳過程で失われるものが、比較的少ないのではないかと思います。」
どうして物語は世界共通語となるのだろう。
「物語を書いていくことは、自分の魂の中に降りていく作業です。そこは真っ暗な世界。生と死も不確かで混沌としている。言葉もなければ、善悪の基準もない世界」
人々が生活する社会では各国で言葉も違う。環境も違う。思想も違う。
「でも魂の世界まで降りていくと、そこは同じ世界なんですよ。それゆえに物語がいろいろな文化の差を超えて、理解し合えるのだと思う。」
さらに加えて、村上さんは「だからこそ、世界中、これだけ文化が違っているのに、神話というのは、似通っている部分がすごくあるのだと思いますよ。」と語った。
af_blog: 物語は世界共通言語---村上春樹インタビュー


とりあえず、
村上春樹氏を日本人の誇りである、
と思うのと同時に、彼の作品を読んでみよう。


もちろん日本語で。